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福岡高等裁判所宮崎支部 平成7年(ネ)205号 判決

控訴人兼附帯被控訴人(以下「控訴人」という。)

川﨑直文

右訴訟代理人弁護士

松下良成

江口保夫

江口美葆子

豊吉彬

山岡宏敏

被控訴人兼附帯控訴人(以下「被控訴人」という。)

医療法人京整会

右代表者理事長

別府徹己

右訴訟代理人弁護士

宮原和利

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

1  控訴人は、被控訴人に対し、金九三万一一四三円及びこれに対する平成八年三月一九日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  被控訴人のその余の請求を棄却する。

二  被控訴人の附帯控訴を棄却する。

三  訴訟費用は、第一、二審(附帯控訴を含む。)を通じ三分し、その二を控訴人の、その余を被控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  被控訴人の附帯控訴を棄却する。

4  訴訟費用は、第一、二審(附帯控訴を含む。)とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

1  原判決を次のとおり変更する。

2  控訴人は、被控訴人に対し、金一五八万二三五〇円及びこれに対する平成六年四月一六日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  本件控訴を棄却する。

4  訴訟費用は、第一、二審(附帯控訴を含む。)とも控訴人の負担とする。

第二  本件事案の概要及び争点に対する判断については、次のとおり付加、訂正及び削除するほかは、原判決の「事案の概要」及び「判断」記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決三枚目表一行目の「これに対する」の次に「同年」を加える。

二  同三枚目裏七行目の次に改行のうえ次を加える。

「4 控訴人親権者らは、本件加害者側事故車両の自動車保険の保険会社である共栄火災海上保険相互会社の担当者後藤に、控訴人の治療について被控訴人に対する社会保険使用申出とその手続についての代理権を授与した。

後藤は、平成六年一月一三日ころ、被控訴人に対し、社会保険使用の申入れをしようとしたが、被控訴人代表者は、土曜日にしか面会に応じないと回答し、その直後の土曜日の同月一五日は祝日で代表者は登院しないというので、やむなく同月二二日に被控訴人代表者に社会保険使用の意思表示をなした。

保険診療は、医療機関の同意は必要なく、申出により健康保険法上、現物給付をなす義務が生じるから、院長のみがこれを受けると称して面会日を先延ばしにすることは許されず、控訴人代理人が院長との面会を決意し、これを求められる状態に至った日に遡及して申出があったと解すべきである。

なお、控訴人は、本件事故の一年前に被控訴人の病院に入院したことがあり、被控訴人代表者ほか被控訴人病院の婦長、看護婦、受付係は、控訴人が健康保険の被保険者の被扶養者(以下単に「被保険者」ともいう。)であることを熟知していた。それ故、本件において控訴人が健康保険証を提出する必要はなかった。」

三  同三枚目裏八行目の「4」を「5仮に右4の主張が認められないとしても、」に、同四枚目表五行目の「5」を「6」に改める。

四  同四枚目表七行目の次に改行のうえ次を加える。

「7 健康保険法の診療報酬体系(一点単価一〇円)は、一般の診療報酬を算定する基準としての合理性を有し、自由診療における診療報酬についての合意を欠く場合の診療報酬算定の基準とされるべきであるから、本件において仮に自由診療とされる期間があったとしても一点単価を一〇円とすべきである。特に、本件においては、医学水準、医学常識により認められた独自の先進的療法等による修正すべき診療は行われていないから、前記健康保険法の診療報酬体系を基準とするのが相当である。

なお、当時、鹿児島県医師会において、自由診療の報酬を一点二〇円として算定する申合せが存在し、これに基づいて料金設定しているとすれば、独占禁止法に違反し無効である。

8 控訴人は、平成八年三月一八日、被控訴人に対し、本件治療費として三四万四〇四〇円を弁済した。」

五  同四枚目表八行目から同裏六行目までを次に改める。

「四 争点

1  控訴人と被控訴人との間で、平成六年一月九日に自由報酬診療契約が締結されたか。右契約は有効か。

2  その後、控訴人(親権者あるいはその代理人後藤)と被控訴人との間で、社会保険使用の意思表示がなされたか。右意思表示により当初から社会保険診療がなされたことになるか(遡及効があるか。)。

3  控訴人と被控訴人との間で、自由診療については、一点二〇円とする旨の合意がなされたか。右合意は親権者の一方の関与を欠くもの、あるいは、独占禁止法に遡及するもので、無効か。合意が無効である場合、診療報酬は社会保険診療の単価によるべきか。

4  弁済の充当の範囲」

六  同四枚目裏八行目の「甲一」の前に「争いのない事実、」を加える。

七  同四枚目裏末行の「出向いたが、」を「出向いた。そして、絹代と正継は、控訴人を代理して、被控訴人との間で、本件診療契約を締結した。」に改める。

八  同五枚目裏一行目の末尾に「なお、控訴人は、本件事故の一年前に交通事故で受傷し被控訴人の病院に入院したことがあった。」を加える。

九  同五枚目裏六行目の「おそらく、」を削除する。

一〇  同六枚目表二行目の「その内容」の次に「(ただし、一点単価金額など細部まで認識していたかどうかは別として。)」を加える。

一一  同六枚目表九行目の「しかし、」から同末行の「決めた。」までを「他方、加害車両の自動車保険の保険会社である共栄火災海上保険相互会社の担当者の後藤は、正継と絹代に会い、控訴人の治療に社会保険を使って欲しい旨依頼し、脇田も同旨の意向を有していたことから、正継と絹代は控訴人の治療に社会保険を使うことに了承した。」に改める。

一二  同六枚目裏七行目の末尾に「絹代は、ほぼ毎日被控訴人病院に行っていたが、被控訴人に対して、社会保険を使いたい旨の申入れも、社会保険の被保険者証の提出もしなかった。」を加える。

一三  同七枚目表七行目の次に改行のうえ、次を加える。

「5 鹿児島県医師会では、昭和四三年ころから、交通事故患者に自賠責を使用して自由診療する際の報酬を一点単価二〇円で算定する申合せが存在し、鹿児島県内の多くの医療機関はこの基準により損害保険会社に請求していた。これに対し、加害車両の保険会社側では、事故被害者の社会保険を利用した方が治療費が低額になることから、事故の被害者に対して社会保険診療を受けるように勧めており、自由診療(自賠責、任意保険利用による)の方が治療に対する制約が少なく、よりよい治療が受けられるとして(診療報酬も高額になり医療機関にとって、その経営上も望ましいことから。)、自由診療を勧める医療機関側との間で診療報酬を巡ってトラブルが生じていた。そこで、昭和六〇年には、鹿児島県医師会、鹿児島県損害保険協会、自算会鹿児島調査事務所の三者による協議会(以下「三者協議会」という。)が設置され、トラブルの処理が行われていた。そして、三者協議会では、平成七年一一月に、日本医師会、日本損害保険協会、自動車保険料率算定会の算定基準に準じ、自動車保険の診療費については、現行労災保険診療費算定基準に準拠し、薬剤等の「モノ」については単価一二円とし、その他の技術料についてはこれに二〇パーセント加算した金額を上限とする旨の新算定基準を作成した。」

一四  同七枚目表八行目から同九枚目裏八行目までを次に改める。

「二 以上の事実を前提にして、各争点について検討する。

1  控訴人と被控訴人との間で、平成六年一月九日に自由報酬診療契約が締結されたか否かについて

控訴人親権者らと被控訴人との間で、平成六年一月九日に本件事故による控訴人の傷害について、診療契約が締結されたことは当事者間に争いがない。そして、前記認定事実によれば、控訴人親権者らは、同日、被控訴人に対して、社会保険を使いたい旨の申入れも、社会保険の被保険者証の提出もしなかったうえ、翌一〇日、被控訴人病院の婦長から、自賠責にするのか社会保険を使うのか決めるよう催告されたのに対して、絹代は、「しばらく待って欲しい。」と答えている。

そこで、この段階で、控訴人と被控訴人との間の診療契約の性格について検討する。

診療契約は、患者と医療機関との間に締結される諾成、双務、有償契約であって、医療機関は患者に対して、その疾病、傷害を治療して健康の回復増進を図る義務を負い、患者はこれに対して、診療費を支払う義務を負うものと解される。これに対し、社会保険診療は、保険者を要約者、医療機関を諾約者、被保険者(患者)を受益者とする第三者のためにする契約であり、患者が社会保険による診療を受けるためには、その旨の意思表示を行う必要があり、原則として、その際に被保険者証を医療機関に提出する必要がある(保険医療機関及び保険医療養担当規則三条)。そこで、以上によると、患者は、医療機関に対して、社会保険診療による治療を受ける旨の意思表示を行わない限り、社会保険診療を受けることはできず、いわゆる自由(自費)診療契約のみを締結したに過ぎないものと解される。

そして、本件においては、平成六年一月九日あるいはその直後の時点においては、控訴人ないしその親権者らから社会保険診療による治療を受ける旨の意思表示はなされていないのであるから、この時点においては自由診療契約のみが締結されたものと認めるのが相当である。

なお、控訴人は、甲一号証の念書による自由診療の合意は無効である旨主張するが、右契約は甲一号証の念書により成立したというより、本件診療契約自体が社会保険診療を受ける意思表示を含まないことから自由診療と目されるということであり、この点に関する控訴人の主張は採用できない。

2  平成六年一月九日より後の法律関係について

そこで、次に、控訴人親権者らは、本件加害者側事故車両の自動車保険の保険会社である共栄火災海上保険相互会社の担当者後藤に、被控訴人との社会保険使用申出とその手続について代理権を授与し、後藤が、同月二二日に被控訴人代表者に社会保険使用の意思表示をなしたといえるか否かについて検討する。

社会保険使用の意思表示も代理人を通じて行うこと自体は許されるものと解される。

しかし、共栄火災は、加害車両の自動車保険会社で、いわば、加害者の代理人的立場にあるところ、本件診療自体は被害者である控訴人に対する問題であること(自由診療であれば、診療内容自体の制約は小さいのに対し、社会保険診療であれば、診療に一定の制約が生じることから、診療自体に限定して考察すると、自由診療から社会保険診療への切り替えは、被害者側にとってマイナス面の存在する可能性があるところ、加害者側の保険会社がこの申入れをすることは被害者側の利益と相反する可能性がないではない。)、共栄火災の後藤は、単に控訴人に対する診療を社会保険で行って欲しいという申入れをしたのみで、控訴人あるいはその親権者らからの代理権を授与した旨の客観的資料も控訴人の被保険者証も提出していないこと、それらの資料は、控訴人親権者らから後藤に容易に交付しうるのに、そのようなことはなされていないこと、などを併せ考えると、控訴人親権者らが後藤に代理権を授与したといえるか、また、後藤が代理人として右意思表示をなしたといえるか疑問の余地があるうえ、後藤は、社会保険被保険者証の提出もなしていないのであるから、後藤ないし控訴人側から有効な社会保険使用の意思表示がなされたとは認められないと解するのが相当である。

なお、昭和三二年四月三〇日厚生省令一五号保険医療機関及び保険医療養担当規則第三条には、「保険医療機関は、患者から療養の給付を受けることを求められた場合には、被保険者証によって療養の給付を受ける資格があることを確かめなければならない。ただし、緊急やむを得ない事由によって被保険者証を提出することができない患者であって、療養の給付を受ける資格が明らかなものについてはこの限りでない。」と規定している。しかし、本件後藤の申入れの場合は、右にいう「緊急やむを得ない事由によって被保険者証の提出ができない」場合には当たらないうえ、前記のような利害の対立する可能性のある加害者側保険会社の口頭の申入れのみでは有効な意思表示とはみられないものである。本件においては、前記のとおり、一月二八日に絹代が被控訴人に社会保険の被保険者証を提出して社会保険診療を受ける旨の意思表示をなしたことが認められる(これより当初の自由診療契約は解除されたものと認められる。)。しかし、これ以前に、控訴人あるいは控訴人親権者らが社会保険診療を受ける意思を有していたとしても、被控訴人に対し、その意思の表示がない以上、右受益の意思表示があったものとは認められない。

3  一月二八日の意思表示により、当初から遡及して社会保険診療であったことにすることができるかについて

前記のとおり、社会保険診療を受ける旨の意思表示をなしたことにより当初の自由診療契約は解除(民法六五一条)されたものと認められるが、この解除には遡及的な効力はなく、将来に向かってのみ効力を有する(民法六五二条、六二〇条)から、意思表示により当然に当初から社会保険診療がなされたことになるものとはみられない。

控訴人は、被控訴人が初診日からの社会保険適用を認めないのは信義則に反し権利の濫用である旨主張し、前記事実によれば、本件において、鹿児島県北社会保険事務所は初診日からの社会保険適用は可能であると認めたこと、控訴人は、本件事故の一年前に被控訴人の病院に入院したことがあり、被控訴人病院関係者は、控訴人が社会保険の被保険者であることを知っていた可能性があることは認められる。

しかし、他方、控訴人親権者絹代は、被控訴人病院婦長から社会保険診療を利用するのか否かはっきりして欲しいと言われたのに「しばらく待って欲しい。」と述べたままであり、みずから被控訴人に対して社会保険診療を受ける旨の意思表示を容易に成し得るのに一月二八日までしていないこと、などの本件経緯を考慮すると、被控訴人が初診日からの社会保険適用を認めないのは信義則に反し権利の濫用であるとまでは認められないものである。

以上によれば一月九日から一月二七日までの本件診療は、自由診療となり、健康保険基準(一点単価一〇円で、控訴人の自己負担割合は二割)は当然には適用されず、一月二八日以降の診療報酬についてのみ、同基準が適用されることになる。

4  自由診療期間中の診療行為に対する診療報酬の算定基準について

まず、控訴人と被控訴人との間で、自由診療について、一点二〇円とする旨の合意がなされたか否かについて検討する。

被控訴人は、甲一号証の念書により一点単価二〇円とする合意が成立した旨主張する。

同念書は、定型の印刷文書であるが、その中には、「この度の交通事故に伴う診療費の取り扱いについて、下記事項を確認・同意しました。」との記載の下に「治療費は一点単価二〇円です。」との記載があり、控訴人と絹代の署名がある。

しかし、同念書の控訴人と絹代の名は絹代が自書、署名したものであるが、同念書には、控訴人の共同親権者である正継の署名はなく、正継が右念書の内容の合意をなす意思があったと認めるに足りる証拠はない。

よって、右念書による合意は共同親権者の一方の関与を欠くものであるから、控訴人に対して効力を生じるものとは認められない(また、右念書署名当時、絹代が一点単価の金額にまで十分認識して署名したといえるかも疑問がある。)。

以上によれば、本件においては、自由診療の報酬金額については同念書記載とおりの合意が存在しないことになるから、裁判所が診療行為の内容に応じた相当な診療報酬額を決定すべきことになる。

なお、前記のとおり、鹿児島県医師会では、昭和四三年ころから、交通事故患者を自賠責を使用して自由診療する際の報酬を一点単価二〇円で算定する申合せが存在し、鹿児島県内の多くの医療機関はこの基準により損害保険会社に請求していたが、この事実のみから、患者を含めた事故の関係者が当然これに拘束される事実たる慣習に該当するものとまでは認められない。

ところで、健康保険法の診療報酬体系は、一点単価を一〇円とし、診療報酬点数表の点数にこれを乗じて診療報酬を算定するようになっているところ、右体系は、利害関係を有する各界の代表委員と公益を代表する委員によって構成される中央社会保険医療協議会(厚生大臣の諮問機関)の答申に基づくものであり、その内容には公正妥当性が認められるというべきである。さらに、証拠(乙八、一一、一八、三一)によれば、交通事故受傷の治療に社会保険診療を施す医療機関も相当数あること、健康保険を適用して治療できない病気はない旨述べる学識者も多いこと等の事実が認められることに照らすと、自由診療契約における相当な診療報酬額は、健康保険法の診療報酬体系を一応の基準とし、これに突発的な傷病に適切に対応しなければならない交通事故の特殊性や患者の症状、治療経過等のほか、労災診療費算定基準では、診療単価は一点一二円とされていること(乙二三)、自由診療の場合、社会保険診療のような税法上の特別措置の適用が認められていないこと等の諸般の事情を勘定して決定すべきであると解する。

そこで、これを本件に当てはめて考察する。

証拠(乙三、被控訴人代表者)によれば、控訴人は、本件事故により、右下腿脱臼開放骨折、右下腿、足部挫滅創、頭部打撲などの傷害を負い、被控訴人病院に運ばれ、手術室で感染予防のためブラッシング洗浄、皮膚の切り取りなどが行われ、同病院に入院し、一月二二日に本手術、二月一日に抜糸、ギブス装着が行われ、二月二五日にはギブスをはずしリハビリが開始され、四月一五日退院したことが認められ、右治療の内容(右治療が担当医師の先進的あるいは特殊な医療行為によるものと認めるに足りる証拠はない。)、本件経緯等に照らすと、本件においては、健康保険の一点単価の1.5倍の一点単価一五円が相当であると解する。

そして、甲三の一ないし七によれば、平成六年一月二七日以前の本件診療契約に係る診療点数は六万三九二八点であり、同年一月二八日以降のそれは一〇万二一四〇点であることが認められる。すると、右において認定判断したところにしたがって、被控訴人が控訴人に請求し得る金額を算定すると、次のとおりとなる。

六万三九二八点×一五円=九五万八九二〇円

一〇万二一四〇点×二円=二〇万四二八〇円

合計一一六万三二〇〇円

5  弁済充当関係について

控訴人は、被控訴人に対し、平成八年三月一八日、本件治療費として三四万四〇四〇円を弁済した。

同日時点で、本件診療代金一一六万三二〇〇円の平成六年四月一六日以降の年五分の割合による遅延損害金(平成八年はうるう年のため一年三六六日として計算する。)は、一一万一九八三円である。そこで、前記弁済金員は、右損害金と代金元本の一部二三万二〇五七円に充当され、同日時点の残代金は九三万一一四三円となる。

以上によれば、控訴人は、被控訴人に対し、金九三万一一四三円及びこれに対する平成八年三月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払義務がある。」

第三  結論

以上によれば、控訴人の被控訴人に対する本件請求は、金九三万一一四三円及びこれに対する平成八年三月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払いを求める範囲で理由があるからこの範囲で認容すべきであり、その余は理由がないから棄却すべきである。

よって、これと異なる原判決を主文のとおり変更し、被控訴人の附帯控訴は理由がないから、これを棄却し、訴訟費用(附帯控訴を含む。)の負担につき民事訴訟法九六条、九二条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 根本久 裁判官 海保寛 裁判官 横田信之)

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